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2012年10月 4日 (木)

まだ内定が出ない人の緊急総点検⑦「ある学生の涙」から考える

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講談社のサイト「現代ビジネス」に掲載された、投資会社を経営しておられる藤野英人さんのエッセイが反響を呼んでいます。
 対人関係が得意でないのに営業職を志望し、落とされ続けて筆者(藤野さん)に相談した学生の話です。
 学生の相談に「タダで」乗っている身としては複雑な思いで読みました。
 就活に行き詰まった学生は藤野氏に相談しました。そして藤野氏から「あなたの誠実な、ウソのつけない人柄を評価してくれる会社はいっぱいあるよ」と言われて、大泣きしたのです。
 それは、彼のターニングポイントになった貴重な涙となりました。彼は、「泣く」ことですべてを変え(「変わり」ではありません。自分でやったことだからです)、最終的に就活を成功させました。

「今の自分でいいんだ」

 無理をせず、虚飾を排して「自分のありのままの姿」で就活に臨んでいいのです。しかしここには、もうひとつの真実があると、私は考えています。

「今の自分から出発すべきなんだ」

 

■「盛る」ことが、就活生を苦しみに追い込んでいる
 この文章には、彼がいままで接してきた大人たちが、彼を否定する、あるいはありのままの彼を出すことを薦めないことで、いかに彼のことをスポイルしてきたのかが書かれています。
 まず、この学生が相談して、「営業が第一志望です!」と押せ、とアドバイスした就活コンサルタントは、彼の話をじっくり聞いていないことがわかります。その学生の本当の適性まで見抜いていません。本人を理解し、有効なアドバイスをするためには、それなりに時間をかけて話を聞く必要があります。

 では、このコンサルタントがだめなのでしょうか。そうは思いません。
 このブログでも何回か取り上げていますが、このやりとりの裏にひそむ問題があるのです。

 いま、学生たちの間には、就活に苦しむあまり、とにかく企業に迎合し、受かるためにはウソをついても構わないという風潮が蔓延しています。経歴を「盛る」(誇張する・捏造する)というのもそのひとつです。
 もちろん、こういうことは「方便」として昔からありました。私自身にも覚えがあります。しかし、最近特にひどくなり、見え透いたウソを堂々とつく人が多いように思いますし、企業側からもそう指摘されています。
 企業と学生のマッチングがうまくいかない大きな原因のひとつに、学生のこのような「自爆」があり、自らハードルを上げてしまっている現状があります。

■「心ない(ことを言う)大人」は、世の中にごろごろいる
 面接担当者に「営業に向いてない」と言われて彼は「心が折れて」しまいます。最近の若者の心は、このあたりがとてもナイーブにできているので、大人は対応に気をつけるべきです。
 しかし、このような「ダメ出し」、場合によっては「理不尽なダメ出し」は、社会に出れば早晩ぶち当たることです。よいか悪いかといえば悪いことですが、よくないというだけで解決はしません。

 大人だって、完全な存在ではないのです。弱いのです。
猿のマウンティングのように、まず相手をやっつけて自分の優位を見せつけないと、話をしたり人間関係 をつくることができない人がたくさんいます。また、自分そのものではなく、組織での地位のみを力に事を進めることしかできない、かわいそうな人もたくさんいます。
 もちろん企業も、そういうコミュニケーションはよくないと自覚し、研修や面接担当者への指導などにつとめていますが、学校のいじめと同じで、なかなかなくならないようです。企業には何らかの権力構造が必ずあり、それをかさにかかって高圧的な態度をとる人はかならず出てくるので、撲滅するのは構造的に無理なところがあります。

 そういう人にたまたま当たってしまうことは仕方がありません。
 防衛策は自分で身につけなければなりません。

 もちろん、この学生自身にも問題がありました。「なぜ営業志望とアピールして失敗し続けたのか?」という疑問を解決しておく必要があります。

 彼がストレスをためることになった理由は、端的にいえば、自己分析不足、それから企業情報を十分に分析して自らとのマッチングを深く考えなかったことが原因です。
 それがなされていれば、言われた時点で相手の言葉を受け止め、考えて志望を変えるか、あるいは「そうは思いません。なぜなら……」と自分が「できる」、あるいは「やりたい」理由を述べ、とりあえず向いてはいないが、自分を鍛えるつもりでがんばる、という方向でアピールできるはずです。
 付け加えれば、最近は少なくなりましたが、ネガティブな言葉をかける大人の中には、実は愛情を込めてそう言っている場合があります。そんな人が、実は一番あなたのことを心配してくれている人だったりするのです。そういうメッセージは逃さないほうがいい。そのためにも、自分を深く掘り下げ、面接担当者と余裕を持ってやりとりできるようにすることが必要なのです。

 藤野氏は、学生にネガティブな言葉をかけないようにと、社会に向けて大きな提言をされていますが、企業や社会全体が変わるまでには時間がかかります。それに対して、あなた自身が変わるのは今日からでもできます。率直に、背伸びせずにいきましょう。必ずいけます。

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コメント

私もそう思います。
周囲の人を変えることは出来ない、というか時間がかかるので、それなら自分が変わる方がはるかに早く簡単。
ただ学生は何故か自分が変わるのを拒む人が結構いると思います。負けたと感じるのか、曲げないのがかっこいいと思ってるのか…まぁ社会人にも結構いますが、曲げない場所を間違ってますよね。
どうかいろんなことに負けずに最後まで就活頑張って欲しいですね。

ようこそ。社会人の方ですね!
学生は、自分を曲げて何かを得る、という経験がまだまだ不足しているから、かたくななところがあるんですね。
ただし、それは理想を追う若者らしい、いいところと捉えることもできます。
ゆみこさんの言うとおり、そこをどう見極めるかですね。
これからも、後輩たちのためにコメントお願いします!

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