第98号:ニコンD700は銀塩写真への最後のとどめとなるか?
久々の更新。
ニコンD700が発表された。スペックを見ると、D300のAPS-Cサイズの撮像素子を、D3のフルサイズにしたような、「フルサイズ普及機」という位置づけのようだ。
撮像素子が大きくなったので、ファインダーに像を結ぶためのペンタプリズムが大きくなり、D300よりも背が高い印象になっている。私は銀塩のF100を持っているが、これもペンタプリズムの大きいカメラなのであまり気にならない。また、D3と比べてデザインがのびやかになったように感じる。
各部解説の写真を見ると、操作性はD300と変わらないようである。これは素晴らしい。D300は、使い込むと自分の意志通りに操れる、道具として大変よくできたカメラだ。その操作性で、フルサイズの画質が得られるのである。欲しくなる。
いま私は、D300を使っていて、時折雑誌掲載用の写真を撮影している。写真の質に関しては割合に厳しい雑誌なのだが、B5判ページ半分ぐらいならば、写真原稿として問題ない写真が撮れる。D300は高感度特性も向上しており、暗くなってから感度を上げて撮った写真をRAW現像で暗部を持ち上げ、明るすぎるところを抑えてバランスをとる処理をすれば、同じく雑誌原稿として問題ないデータを作ることができる。つまり、表現の幅が広がったことになる。D700の撮像素子はD3ゆずりだから、さらに高感度特性がよい。
フルサイズ機で気になるのは、「どのくらい伸ばせるか」ということである。距離を置いて見るポスターや広告写真の世界では、実質的に充分な画質が確保され、ほぼデジタル化が完了している。しかし、目を近づけてみることの多い風景や鉄道写真を載せる雑誌では、解像度の高さや色飽和が出やすいなどの問題で、まだポジフィルムが幅を利かせている部分がある。APS-Cフォーマットでは、半ページ大の写真までが限界、と編集者から聞いたことがある。
実のところ、ポジフィルムであるフジRVPを1段増感で使うだけでも、A4判雑誌の見開きカラーとしては厳しく、デジタル補正が必要となる。キヤノンのEOS1Ds MarkIIIやD3による試みが行われているが、普及価格帯のD700が出てフルサイズユーザの裾野が広がることで、この分野が完全にデジタル化するかどうかが興味深い。置き換え可能、ということになれば、富士フイルムが最後の踏ん張りを見せている銀塩フイルムの世界に、最後の一撃ということになるかもしれない。
私としては、D700は“買い”だと思うけれど、たぶん次の世代まで待つ。
雑誌見開きを狙うような「作品」は撮らないだろうからである。
D300を持っていない人は、飛びついても損はないのだろう。きっと。



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