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September 03, 2006

第67号:オーマイニュースの明日はどっちだ!? シンポジウム報告

Sympo
パネルにはオーマイニュース側とブロガーが参加した


 シンポジウム「ブロガー×オーマイニュース 『市民メディアの可能性』」が、早稲田大学で行われた。詳しい発言内容はオーマイニュースHPに掲載されているので、ここでは私が関心を持ったことをメモとして記すことにする。

■オーマイニュースのダイナミズムとは
 オーマイニュースとはいかなるメディアなのか。
 オーマイニュース編集委員で、「準備ブログ」で、編集部のあり方に疑念を示した佐々木俊尚氏は、オーマイニュース編集部は、活字メディアスタイルの「編集をがっちり行う」モデルであり、2ちゃんねるに代表される、「場」を提供し、そこに人がよってたかって集まってくる「編集しない媒体」との衝突が起こっているのではないかと問題提起し、編集部でも議論が起こっていると明かした。
 オーマイニュース編集長の鳥越俊太郎氏は、その理想とするモデルを、市民記者Aが身近な体験(たとえば、医療にまつわる問題)を記事にしてアップし、同じような体験をした市民記者Bが記事にする。その集積を編集者または市民記者みずからが問題意識としてテーマ化し、さらに突っ込んだ調査報道を行う、とした。その発端と一般化、深化に市民記者を関与させようというもので、現在の新聞で考えると読者投稿から調査報道に発展する、あるいは新聞社に寄せられた情報をもとに調査報道が行われるというイメージになるだろう。発端以外はプロの手で行うものである。
 佐々木氏は、記事の質をうんぬんするよりも、とにかく「荒削りなもの」を「場」に出して、それをもんでいくダイナミズムを大切にすべきというモデルを提示している。ブロガーのいちる氏による、ネットの特性を考えると、記事投稿の敷居を高くすべきではなく、思いつきを面白く、インスタントに大量に出すべき、との発言も同じモデルを示唆しているといえよう。
 鳥越モデルは、黒田清氏が読売新聞大阪社会部の部長時代に社会面に毎日作っていたコラム「窓」——投稿者の投書を紹介しながら問題意識を拾い、場合によっては調査報道に発展する——に似た発想ではないだろうか。鳥越氏のモデルは、プロの編集者がしっかり関与するという性格が強いが、鳥越氏がネットの議論の生成状況についてあまり詳しくないため、活字メディア的な発想寄りであるということを考慮すれば、佐々木氏とそれほど考えは違わないのではないかと思われる。

■コメント欄で読者との対話は可能か
 現在、オーマイニュースにはコメント欄があり、「オピニオン会員」として登録した人が書き込めるようになっている。しかし、イデオロギーが絡む記事を中心に、罵詈雑言に近いコメントが集中する「炎上」状態が続いている。
 オーマイニュースの「炎上」の分布具合を見ていると面白い。日中・日韓関係やイデオロギーがからむ問題について「炎上」が認められ、たとえばイスラエル国内からのルポにはほとんどコメントがついていない。ある意味で、読者の関心の分布をよく示している。
 編集幹部のひとりに直接聞いてみた。もともとイメージされていたコメントのありかたとは、「書き手を励ます、エンパワメントする」ものなのだという。「炎上」の状況をどう考えるか問うたところ、「炎上しやすいジャンルがあるので、前面に出すかどうか再検討したい」との返答を得た。これは、マーケティング的な考え方であるといえよう。
 シンポジウムの中で会場から出た意見に、「トラックバックを作ることを検討しないのか」というものがあった。オーマイニュースの方針として確答はなかったが、十分検討に値する方法であると思う。
 トラックバックはブログを持っている人しかすることができない。その意味で、全ての人たちに開かれているわけではない。しかし、トラックバックでは自らのブログのエントリを立ち上げることになり、言論の責任と質は、ブログ主の責任となることが読者にはっきり見える。その点で、トラックバックの実装が行われれば、対話の質が向上することは間違いないだろう。
 また、「炎上」をどうとらえるかというのも見方次第だ。
 オーマイニュース編集次長の平野日出木氏は、オーマイニュースの役割について、完成された書き手が完成された記事を書くだけでなく、さまざまな人が言論を世の中に発表するという、「回転するプラットフォーム」を提供するものだとしている。いわば「輪転機」だというのだ。さまざまな質の記事があり、輪転機を通ったからといって、すべての記事が残るとは限らない、それでいいというものだ。なるほど、ひとつの見識である。
 だとすれば、コメント欄の「炎上」も「回転している」と考えればいいわけで、それほど心配すべきことではないということになる。コメントをどう活かすかという発想をし、働きかけを続けていけばよいのではないか。その方法については、佐々木氏の「場としてのダイナミズムを大切にする」アプローチが参考になろう。

■どうなる? オーマイニュース
 シンポジウムの参加者全員に、「オーマイニュースは成功するか?」と質問が投げかけられたが、「成功する」と答えた参加者は少なかった。正直言って私にもわからない。しかし、編集部が何を考え、どう悩んでいるかは少し見えてきたような気がする。私も前のエントリでオーマイニュースに苦言を呈しているが、発足当初のどたばたと評価するのが妥当であろう。
 うまくやればいけるんじゃないか、との認識を新たにしたシンポジウムであった。

 ボランティアベースで行われたシンポジウムのスタッフの皆さんに感謝します。

Torigoe
鳥越俊太郎氏のオーマイニュースにかける心意気には、聴衆の心に響くものがあった

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