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2012年11月 7日 (水)

パイロット万年筆「エラボー」が、突然浴びた脚光

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私が愛用しているパイロット「エラボー」。右が78年に発売された第1期、左は2009年から販売されている第2期。

「知ってますか?」とフェイスブックで連絡をくれたのは、S先生だった。

パイロットの「エラボー」の輸出版である「ナミキ ファルコン」が、カリグラフィに最適だという動画が出回っていて、世界で話題になっているという。

確かに驚きだ。ファルコンのペン先は力の入れ方によって自在に開き、さまざまな太さや表情を持った線を描き出す。動画の主の技術は相当なもので、ペンの表(?)だけでなく裏まで使って、美しいセリフ(装飾)つきアルファベットが次々描かれる。使われているのはSF、細字のペン先だ。
素晴らしいテクニックで、確かに目を奪われる。

動画を見た人による賞賛のコメントはものすごく、自分が持っているのはこんなペンだったか、という驚きも感じた。

エラボーは、1978年にパイロットと万年筆小売店組合との連携で生まれた。一般の万年筆より大きく、中途でくびれたペン先が特徴で、腰を柔らかくすることで毛筆のような字が書ける、といういままでにない価値を提供した。しかし、当時の国産万年筆としては比較的高価(18,000円)であることもあって、メジャーな存在にはならなかった。

私は、実はエラボーを使って25年近くになる。

大学時代に買ったのが始まり。現在は再販されたグリーン軸のエラボーを使って、取材のメモを取るのに中字を使っている。インクフローと滑るような書き味がすばらしい。

とはいえ、取材時にはとにかく書けなくなることが怖い。だから万年筆は向いているとは言いがたいのだが、どんなシチュエーションでも、取材相手と対峙するのは緊張のときだ。自分に頼れる「味方」がほしい。そんな気持ちが、いつも右手にエラボーを握らせてきた。

今日の取材にも、エラボーをたずさえる。
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