鉄コレ箱写真の謎②「5720型直角カルダンのルーツを求めて」
鉄コレ1700系(原形)の箱に印刷されている、直角カルダンでデビューしたはずのモハ5720型の台車が、つりかけイコライザ台車に換装されていたお話。写真の謎解きをする前に、まず直角カルダンとはなにか、というお話をしましょう。
つりかけ式駆動は、車軸の上にモーターを乗せ、モーターの軸にはめられたピニオンギア(小歯車)と車軸の大歯車を直接噛み合わせていました。シンプルで故障の少ない機構ですが、走行すると台車は振動しますから、ギアの噛み合わせにすき間を与える必要があり、それが大きな駆動音(いわゆるつりかけ音というやつですね)となっていたのです。Wikipediaの解説をこちらに貼り付けておきます。
東武7800系→5050系に使われていたTDK-544型モーター。手前のU字形の溝が車軸に乗ります。
TDK-544型モーターの軸に取り付けられているピニオンギア。
この欠点を改良しようという動きが、1920年代のアメリカで生まれました。当時全盛期を迎えていた路面電車の近代化を狙って開発されたPPCカーです。スムーズな加速を得るための100段にも及ぶ超多段制御器、そして直角カルダン駆動、弾性車輪を用いた台車、効きのよい電磁直通ブレーキ、レール吸着ブレーキ、ワンハンドルマスコンなど、電鉄技術の画期といえる車両でした。
(Cederさん、ここにPCCカーの写真を入れたいと思います。適当な写真を頂けないでしょうか?(笑))
直角カルダンは、つりかけ式がモーターを車軸の上、すなわち枕木方向に置くのに対して、小型モーターをレール方向に置いて、自在継手を介して軸につけた傘歯車を車軸に取り付けた傘歯車とかみ合わせて駆動させる方式です。Wikipediaの解説をこちらに貼り付けておきます。
自在継手が振動を吸収するので、傘歯車は変位することなくぴったりと噛み合います。それゆえ、つりかけ式より伝導効率が高く、静かな走行音が得られるのです。
次回は、アメリカで1920年代に爆発的に普及した直角カルダンを含めた新しい電車のフォーメーションが、なぜ日本で取り入れられるのが遅れたかについてお話しましょう。(つづく)
« 鉄コレ「東武1700系セットA」箱写真の謎①「57の台車が違う」 | トップページ | 鉄コレ箱写真の謎③「PCC カーと直角カルダン」 »
「東武鉄道」カテゴリの記事
- 鉄コレ箱写真の謎⑥(終)戦後日本の技術力と高性能車の夜明け(2017.04.23)
- 鉄コレ箱写真の謎⑤「昭和19年、運輸通信省の奇妙な命令」(2017.04.15)
- 鉄コレ箱写真の謎④「PCCカーはなぜ普及しなかったか」(2017.04.07)
- 鉄コレ箱写真の謎③「PCC カーと直角カルダン」(2017.03.25)
- 鉄コレ箱写真の謎②「5720型直角カルダンのルーツを求めて」(2017.03.08)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
« 鉄コレ「東武1700系セットA」箱写真の謎①「57の台車が違う」 | トップページ | 鉄コレ箱写真の謎③「PCC カーと直角カルダン」 »
写真より図面のほうがと思い、送ります。
投稿: Cedar | 2017年3月10日 (金) 16時55分
失敗しました。あとで再送します。
投稿: Cedar | 2017年3月10日 (金) 16時57分
Cederさん:図面拝受しました。ありがとうございます! せっかくですから、次のエントリの冒頭に掲載したいと思います。
投稿: 低N | 2017年3月10日 (金) 21時24分