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2014年12月15日 (月)

南新宿の旧小田急本社ビル

渋谷の帰りがけに、新宿まで歩いてみました。
「そうそう、あのビルまだあるかな?」

南新宿駅の脇にある、旧小田急本社ビルです。25年前は小田急の病院になっており、スクラッチタイル貼りだった記憶があります。ツタもからまっていたかも知れない。
四半世紀ぶりに再会したビルは、外装は新しい石材や窓枠でリノベーションされていたものの、全体の形はほぼ当時のままを残していました。

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設計は、服部時計店、日劇、GHQの置かれた第一生命館、横浜のホテルニューグラント、大阪放送会館など数々の華やかな建築を手がけた渡辺仁。小田急本社ビルは1927(昭和2)年築とやや早期の作なので、ドイツ表現派のような、少々重い造作になっています。

大阪放送会館のネガが出てきました。こんな感じです。塔をわざとアシンメトリーにしているところに、表現主義の残り滓のようなものも感じます。1936(昭和11)年築。4年前に竣工した銀座四丁目の服部時計店が凸面のカーブを描くのに対し、こちらは凹面のカーブになっているのが面白いですね。撮影は連続テレビ小説のタイトルからして1999年です。どんな話かは忘れました。この3年後に取り壊されています。

Img554

そういえば、ロマンスカーVSEも、建築家岡部憲明のデザインですね。建築と建築の出会い、そして別れ。

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鉄道」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
1枚目がポスターのようにきれいな色が出ていて気になります。
どうやったらこんな透明感が出るのでしょうか?

品じい様

よくぞ聞いてくださいました(笑)。ありがとうございます。

普通に撮ると最後のRSEの写真のような感じになりますね。確かに、少し変わった撮影方法を採っております。

この写真は踏切をまたぐ跨線橋の上から撮っております。
感度を低く(ISO100)設定し、レンズの描写の一番おいしいところを得るために、開放からふた絞り弱絞って5秒間露出しました。こうすると、肉眼で真っ暗でも、人工光が回って、全体のディテールが写り込みます。

下を電車が通ると振動でブレるので、電車が南新宿駅の手前にいるときにシャッターを切り、レールがライトで輝く効果を狙いました。
カメラはリコーのコンパクトカメラGRですが、単に跨線橋の欄干の上にポンと置いただけです。

さらに、後加工でシャドー部を持ち上げ、空が明るくなってしまうのを防ぐためにハイライト部を切り詰めています。空の階調を残しつつ、地上でも真っ黒につぶれたり、ハイライトが飛ぶような部分が生まれないよう、全てに光が回り、階調が出るように露出を管理しました。
構図的にはつまんない写真ですが、レンズやセンサーの性能を表現に使い切ることができているなぁとは思います。

実は同じようなことを聞こうかと考えてました。
やはり、血の滲むような(滲みません)努力をなさってるのですね!
感動しました。
あと、ワタシは建築犬ですが
コレが小田急本社だったとも
渡邊仁の設計だったとも知りませんでした。
糞野郎です。

小田急本社社屋、良いですよね!
暮れなずむ光景もステキ!

 高校生の頃、電車の図面が欲しくてこの本社に行きました。ツテなし、アポなしの高校生にも親切に応対してくれて、その時の図面は今もしっかり保存しています。

へえ犬(省略しました)様
いや、あの華やかなビルをたくさん設計した渡辺仁だとはちょっと想像できないような地味〜なビルですよね。建築潮流としてはモダニズム前夜の時代で、それが影響しているのかと思います。1、2年遅かったら全然違うスタイルのビルが建ったかも知れません。
小田急は鬼怒川水力電気社長の利光鶴松が小田原までの全線を一挙に開業させたのですが、直後は非常に経営が苦しかったと聞いています。でも本社は最初から立派なものを建てていたのですね。

Chitetsu様
建もの探訪(笑)の先輩として、「街並みを求めて」ブログで勉強させていただいております!

モハメイドペーパー様
いらっしゃいませ。昔はおおらかでよかったですね。外装のリニューアルで姿が変わりましたが、そういう思い出の場所が末永く残るというのはうらやましい限りです。

遅コメですみません。
小田急と言えば、マンサード屋根の駅本屋やこの本社ビルのように昭和に一気開業した電鉄らしいデザインの一貫性がありました。ノースショアの高速新線の駅舎がスペイン風に統一されてたのを思い出します。
写真の踏切の手前に旧南新宿駅のカーブしたホームがあったのを記憶しています。

そうですね。小田急のマンサード駅舎は80年代の終わり頃まで残っていましたね。たしかに統一の美があったと思います。
対照的なのが東武鉄道で、開業の時代によって5〜6種類の駅舎建築のバリエーションがあります。折りを見てご紹介したいと思います。

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