« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »

2012年11月

2012年11月12日 (月)

エラボー(ファルコン)でカリグラフィをするとどうなるか

R0012077

エラボー細字(SF)を使った、S先生による筆跡

私自身はカリグラフィの素養がない。

というわけで、最初に動画の情報を寄せて下さった、S大学のS先生の研究室にエラボーの細字と中字を2本持ち込んだのである。

S先生とはshio先生のことである。写真やMacや筆記具がお好きな読者には、ご存じの方も多いのではないだろうか。ブログを見ると、最近帽子を被ってスカしておられるようだが、カリグラフィもなさるのだ。

S先生がカリグラフィに向いていると判定されたのは、細字のほうであった。それも当然で、細い線から力を入れての太い線まで自由自在に書けるからだ。

S先生がカリグラフィを離れて「書きやすい」と評価されたのは、私がふだん仕事で使っている中字のほうだった。こちらはインクフローが申し分なく、力を入れずにすらすらとストレスなく書ける。しかし細字ほど細い線が出ないため、カリグラフィには向かないのである。

ただ、今回の試筆では、私の持って行った個体があまりよろしくなかった。ペン芯に漆を使った最初期形で、インクフローがよろしくなく、あまり使っていなかった。S先生が「人の使っている万年筆に変な癖をつけたくない」と配慮してくださったので、「では調整に出すつもりのものがあるから」と持参したのだが、やはりペン先に力を入れ、ニブを広げるとインクが流れなくなってしまう。動画のように書けるか、本来の評価は仕切り直しとなった。

R0012084_1
こちらは中字(SM)で力を入れない筆跡。

2012年11月11日 (日)

エラボーとはどんな万年筆なのか

R0012098_1

エラボーは大きく2つのグループと、輸出用のファルコンの3つに分かれる。

その特徴は何と言ってもこのペン先。幅が広く、よくしなる。そしてよく開くので、力の入れ具合で、自在の線の幅が得られるのだ。手首に返る弾力も心地よい。

■エラボー初代グループ

・78年に発売されたエラボーの初期型はブラックの樹脂軸に勘合式のキャップ。ちょっと日本刀を思わせるような反りを取り入れたクリップは金メッキで、最初期のものはペン芯に漆が塗られる凝りようだった。80年代なかばには漆塗りが省略されて、樹脂そのままになる。

■ファルコン

・ファルコンは輸出専用の商品名。エラボー初代の派生形といえる。カリグラフィの動画で登場しているのはこのタイプ。

   キャップがねじ込み式に変更され、本体がやや長くなっている。ペン先のポイントの設定がエラボーと異なる(ようだ)。

 

 ファルコンは販売され続けたが、エラボーは90年代には廃盤になり、長らく日本では手に入らなかった。エラボーの感触を忘れられないユーザーは並行輸入店でファルコンを手に入れるか、ネットオークションの出品で買うしかなかった。

■エラボーリニューアルグループ

・2009年に突如復刻、というか新発売されたグループ。現在も売られている。

最初に発売されたのは、真鍮軸で、全長が長くなった。パイロットで一番大きなコンバーター「con-70」が装着されており、それまでの「con-50」に比べ圧倒的な大容量で具合がよかった。ペン先はそれまでの金ペンではなく、ロジウム仕上げで銀色に。キャップはねじ込み式になり、クリップ形状が変わらないものの銀となった。

・2011年には、樹脂軸も発売される。ファルコンと同じねじ込み式となり、全長もよく似てくる。それぞれ200本限定でブラウン・グリーン・ホワイトが発売され、現在では定番品としてブラックとレッドが手に入る。

2012年11月 7日 (水)

パイロット万年筆「エラボー」が、突然浴びた脚光

Img_1110
私が愛用しているパイロット「エラボー」。右が78年に発売された第1期、左は2009年から販売されている第2期。

「知ってますか?」とフェイスブックで連絡をくれたのは、S先生だった。

パイロットの「エラボー」の輸出版である「ナミキ ファルコン」が、カリグラフィに最適だという動画が出回っていて、世界で話題になっているという。

確かに驚きだ。ファルコンのペン先は力の入れ方によって自在に開き、さまざまな太さや表情を持った線を描き出す。動画の主の技術は相当なもので、ペンの表(?)だけでなく裏まで使って、美しいセリフ(装飾)つきアルファベットが次々描かれる。使われているのはSF、細字のペン先だ。
素晴らしいテクニックで、確かに目を奪われる。

動画を見た人による賞賛のコメントはものすごく、自分が持っているのはこんなペンだったか、という驚きも感じた。

エラボーは、1978年にパイロットと万年筆小売店組合との連携で生まれた。一般の万年筆より大きく、中途でくびれたペン先が特徴で、腰を柔らかくすることで毛筆のような字が書ける、といういままでにない価値を提供した。しかし、当時の国産万年筆としては比較的高価(18,000円)であることもあって、メジャーな存在にはならなかった。

私は、実はエラボーを使って25年近くになる。

大学時代に買ったのが始まり。現在は再販されたグリーン軸のエラボーを使って、取材のメモを取るのに中字を使っている。インクフローと滑るような書き味がすばらしい。

とはいえ、取材時にはとにかく書けなくなることが怖い。だから万年筆は向いているとは言いがたいのだが、どんなシチュエーションでも、取材相手と対峙するのは緊張のときだ。自分に頼れる「味方」がほしい。そんな気持ちが、いつも右手にエラボーを握らせてきた。

今日の取材にも、エラボーをたずさえる。

« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »

2020年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30